前回の「設定を考えよう」ではキャラクターの設定を考えましたが、今回はそのキャラクターが活躍するストーリーと、それを展開させるコマ割について考えていきましょう。
■漫画のストーリーの「展開」
ストーリーの組み立て方にはいろいろな手法がありますが、ここでは読み切りのショートコミックを描く事を前提に組み立ててみましょう。(4コママンガは別の機会にやります)「序破急」と呼ばれる3段構成を昔話の「桃太郎」を例にご説明しましょう。
◆序(導入部)
導入部では登場人物の紹介や、主人公がどんな目的や目標を持っているのかを描き、読者に世界観を認知させるようにします。また、「導入」の名の通り、話のきっかけの部分もここで描きます。
桃太郎で言えば「川から流れてきた桃から桃太郎が生まれました。おじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎はすくすくと成長します。」というあたりまでが序盤のストーリー、ということになります。
◆破(展開部)
次に、「破」と呼ばれる中盤、物語が大きく展開します。人物、出来事など、主人公が様々な物と出会い、時には大きな困難にぶつかります。ここの部分を作り込むと、クライマックスに向けて話が非常に盛り上がります。
桃太郎で言えば「桃太郎は鬼の所行を知り、鬼を退治することを決意します。鬼ヶ島に向かう途中、イヌとサル、キジをお供にした桃太郎は、ついに鬼ヶ島に渡ります。鬼との戦いが、今まさに始まろうとしていました…」というあたりですね。
◆急(結末部)
最後が「急」と呼ばれる終盤、いわゆる「オチ」の部分です。数々の困難を乗り越えた主人公が目的を達成し、ストーリーは結末を迎えます。
桃太郎で言えば「戦いの末、鬼の親分を懲らしめた桃太郎。鬼の財宝をお土産に村に戻り、おじいさん、おばあさんといつまでも幸せに暮らしました」という、感動のフィナーレの部分がここにあたります。
長編になると序破急の中に、さらに序破急があったりすることもありますが、大筋でこの構成でストーリーを作ると比較的無理なくストーリーを作る事ができます。
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■展開ができたら今度はシナリオを考えてみる
流れが決まったらシナリオを作ってみましょう。テレビドラマや舞台で使われる「台本」のイメージです。どんな場所で、どんなシチュエーションで、登場人物は誰がいて、どんな台詞を喋るのか……慣れない内は一度文字に落とし込む方がいいでしょう。
シナリオの段階ではあまりコマ割は意識しなくても良いでしょう。まずは文字の段階でしっかりとした話を作り、そこから考えた方が無理のない話が作れます。また、一般のマンガであれば「16ページでお願いします」などの制約があったりしますが、最初はページ数を意識せず、作りたい物を作りたいページ数で作るのがいいでしょう。
「どうしてもストーリーが思いつかない!」という場合は、昔話や神話、伝説などを参考にする、というのもありです。既存の話をモチーフに、肉付けをしたり、外伝的なストーリーを考える、というのはマンガやドラマの脚本などにも使われる手法です。
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■コマ割を決めて実際にマンガを作ってみる
ストーリーが決まったら、コマ割を考えて、マンガを作ってみましょう。一般的に、マンガを作る前にはコマ割やキャラクターの配置、セリフをラフに描く「絵コンテ」「ネーム」を作る事が多いのですが、コミPo! の場合はこのネームを切る作業もいっぺんにできてしまうので、非常に楽です。
マンガのコマ割の大原則として「右上から左下」という物があります。(フキダシが縦書きの場合)この流れが崩れると非常に読みづらい作品になってしまいます。
右のチュートリアルのマンガであれば、上から3段構成になっているので「右から左へ、読み終わったら次の段へ」という流れで進んでいきます。
また、右から左、という流れで進んでいく関係上、台詞の順番やリアクションの順番も同様にした方が読みやすくなります。
サンプルを用意しました。まずはチュートリアル通りの画像。次に、最後のコマのキャラクターの立ち位置を入れ替えた物です。
素材も話の流れもまったく同じなのに、最後のコマの配置を換えただけで読みづらくなった、と思いませんか?これはセリフと先生のリアクションの順番が逆になってしまっているからです。
このように、コマ割だけではなく、キャラの配置やセリフの内容についても「右上から左下へ」を心がけるだけで、かなり読みやすくなります。普段読んでいるマンガもこの流れになっている物が多いので、意識して読んでみると参考になるかもしれません。
漫画の描き方第3回「4コママンガを描いてみよう」はこちらから
本記事はコミPo! 公式活用テクニック(アスキー・メディアワークス刊)及びできるコミPo! 公式ガイド(インプレスジャパン刊)を参考にさせていただきました。本の方ではさらに詳しい説明が掲載されています。
【中の人】